大月を語る上で外せないのが、日本三奇橋の一つに数えられる「猿橋」だ。橋脚を一切使わず、両岸の岩盤から張り出した四層の刎木(はねぎ)によって深い渓谷を渡すその構造は、江戸時代の土木技術の粋を集めた傑作として知られる。歌川広重が浮世絵に描き、文豪たちが息をのんだ景観は、今なお色褪せない。
甲州街道の宿場町として栄えた歴史は、街の路地裏のそこかしこに息づいている。古い木造家屋の格子戸、街道沿いに残る蔵、そして地元の人々が代々守り続けてきた郷土料理「おつけだんご」。歴史遺産をただ保存するだけでなく、現代のカルチャーと掛け合わせて新たな価値を紡ぎ出そうとする動きが活発化している。