高幡不動尊の仁王門へと続く石畳を歩くと、ふっと甘く温かい香りに包まれる。創業以来の暖簾を守る店の店頭では、大きな木製蒸籠から真っ白な湯気が勢いよく立ち上っていた。デジタル化が極限まで進んだ2026年の今、人々が買い求めているのは、こうした「まやかしのない手作り」の温もりにほかならない。
参道を行き交う客層の幅広さも印象的だ。地元の常連客が数箱単位で買い込んでいく傍ら、スマートフォンを手に参道を楽しむ若いカップルや、東京の隠れた名所を巡る外国ルポライター風の旅行者が、出来立てのまんじゅうを頬張り満足そうに目を細めている。