マンハッタンのパン作りの現場でいま起きているのは、クラフトビールやスペシャルティコーヒーと同様の「サードウェーブ革命」だ。大量生産のイースト菌を捨て、100年以上引き継がれてきた自家製野生酵母による72時間以上の超長期低温発酵が主流となっている。
「私たちは小麦本来の命を焼き上げているんだ」と、ウェスト・ヴィレッジで話題の工房を営むシェフは熱っぽく語る。使用する粉も地元ニューヨーク州の小規模農家から直接買い付ける有機古代穀物スペルトやヒトツブムギ(アインコーン)が中心。噛めば噛むほど湧き出る自然な甘みとナッツのような香ばしさは、健康志向の高い感度の高いニューヨーカーだけでなく、舌の肥えた日本人ファンの心をも捉えて離さない。