生成AIの進化はイラスト表現の領域にも大きな波紋を広げている。しかし、トンボを描くという行為においては、依然として人間のイラストレーターによる手作業の優位性が残る分野がある。それが「羽の脈(翅脈)」の美しさだ。
AI画像生成プロンプトに「トンボ」と入力すれば、一見すると美しい画像が数秒で出力される。だが、拡大して観察すると、羽の細かい网状の筋が不自然に途切れていたり、左右非対称で構造的におかしかったりすることが少なくない。
プロのイラストレーターが描くグラフィックは、昆虫としての構造美を理解した上で、意図的にデフォルメや省略を施している。この「人間の目を通した美意識のフィルター」こそが、商業デザインにおいて高い評価を得る理由だ。完璧すぎず、破綻もしていない、絶妙なバランス感が求められている。