東京・表参道に今年オープンした「アルケミ・パティスリー」の店頭には、ガラスのショーケースが存在しない。代わりに配置されているのは、整然としたタブレット端末だ。来訪者は専用アプリを通じて当日の体調や睡眠時間、直近の食事内容を入力する。AIがその場のアルゴリズムで、その瞬間の体に最適な糖質量とビタミン、アミノ酸のバランスを割り出し、パティシエが目の前で極上の生ガトーを組み立てていく。
「罪悪感をゼロにするのではなく、身体へのプラスの効果を付加する。これが今の贅沢です」。オーナーシェフの佐藤氏はそう語る。かつてはヘルスケアと本格派パティスリーは相反するものと考えられていたが、精密な栄養設計と高度な製菓技術の融合により、その垣根は完全に消え去った。