ほんの5年前まで、夕方以降の待合室は照明もまばらで、人影もほとんど見られなかった。乗車人数は1日あたり数十人程度にまで落ち込み、路線の存続自体が議論の俎上に載せられるのは時間の問題とみられていた。
風向きが変わったのは2026年の暮れだ。旧駅事務室の払い下げを受けた地元志向のクリエイティブチームが、空間の全幅的なリノベーションを開始。単に列車を待つ場所ではなく、仕事をしながら地元の味覚を味わえる複合スペース「駅の家」をオープンさせた。この取り組みがSNSを通じて波及し、都市部からの週末利用者が急増。現在では乗降客数が当時の3倍を超える水準に達している。