視覚だけに依存するアート鑑賞も過去のものとなりつつある。最新のテクノロジーは作品を描くためではなく、鑑賞者の身体感覚を覚醒させるために使われている。
最新の体験型展示では、専用のウェアラブルデバイスを装着した鑑賞者の心拍や脳波が作品の音響や照明と同期する。隣に立つ見知らぬ他者と心拍が重なった瞬間、空間全体の色彩が変容する仕組みだ。見るだけの受動的な存在から、その場にいること自体が作品の一部となる能動的な存在へ。現代人はもはや「綺麗な絵」を見たいのではない。孤独なデジタル世界から抜け出し、他者や空間と深く接続される「体験」そのものを求めている。