いま、日本の海で大きな変容が生じている。地球規模の海水温変化に伴い、かつて瀬戸内海や関西近海が主産地だった鰆の回遊ルートが北上。2026年現在、北陸から東北沖にかけて水揚げされる鰆が、驚異的なクオリティを見せているのだ。
本来、秋から冬にかけての鰆は「寒鰆」と呼ばれ、脂がしっかり乗ることで知られてきた。しかし近年の北上個体は、豊かな餌場を泳ぎ回ることで年間を通じて見事な身の締まりと上質な脂を蓄えるようになった。「ここ数年で水揚げされる鰆は、過去最高レベルに状態が良い」と地元の仲卸業者は語る。この極上の素材が惜しみなく西京漬けへと回されることで、料理全体の旨みの底上げが起こっている。