新宿や梅田といった巨大ターミナル駅を歩けば、返却口に吸い込まれていくバッテリーの姿を毎分のように見かける。かつてガジェット好きの「便利ツール」に過ぎなかったバッテリーシェアリングは、今や自動販売機やコインロッカーと肩を並べる都市機能の一部だ。重い充電器と絡まりやすいケーブルを鞄に忍ばせるストレスから解放された人々は、必要な時に必要な分だけ給電する生活を完全に受け入れている。
この変化を後押ししたのは、主要路線における設置密度の爆発的な高まりだ。移動の合間にサッとスタンドから抜き取り、目的地近くの別スタンドで戻す。この一連のアクションが日常の動線上に自然と組み込まれたことが、利用ハードルを劇的に下げた理由と言える。スマートフォンのバッテリー大容量化が進む一方で、高画質動画の視聴やARマップ、バックグラウンドでのAI処理による消費電力の増大は続いており、街中での「継ぎ足し充電」の需要は衰える兆しを見せない。