なぜ人は、山頂や超高層ビルの展望台から街の明かりを見下ろすだけで、これほどまでに心を揺さぶられるのだろうか。脳科学や心理学の研究では、この現象に明確なメカニズムが存在することが分かっている。
高所から広大な夜景を見渡すとき、人間の脳内ではアルファ波が増加し、副交感神経が優位になる。眼下に広がる規則的かつランダムな光の明滅は「1/fゆらぎ」の特性を持ち、視覚的なリラックス効果をもたらすのだ。さらに、暗闇という非日常的な空間の中で輝く光の集積は、本能的な安心感を与える。人類が太古の昔から火を囲んで暖を取ってきた記憶が、都市の灯火によって呼び覚まされているとも言える。