生田斗真の最大の強みは、舞台仕込みの確かな発声・身体能力と、役柄によって全く異なる質感へと自己を変容させる憑依力にあります。数多くの出演作の中から、彼の評価を決定づけたマイルストーン作品を検証します。
1. 転換点となった初期の代表作
2007年のドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』で演じた中津秀一役は、持ち前のコメディセンスと切ない恋心を巧みに演じ分け、第54回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を受賞。一躍全国区の人気を獲得しました。翌2008年にはTBS系ドラマ『魔王』で大野智とW主演を務め、苦悩する熱血刑事をシリアスに熱演。コメディとサスペンスの双方で主演を張れる実力を証明しました。
2. 映画俳優としての地位を確立した挑戦作
2010年、太宰治生誕100年を記念した映画『人間失格』で映画初出演にして初主演を果たし、ブルーリボン賞新人賞およびキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞を受賞。さらに三池崇史監督の『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』シリーズでは、全裸同然の過激なアクションコメディに体当たりで挑み、商業的成功を収めました。
一方で、2017年の映画『彼らが本気で編むときは、』ではトランスジェンダーの女性リンコ役を繊細に演じ切り、国内外の映画祭で極めて高い評価を獲得。単なるスター俳優にとどまらず、社会的テーマを背負うアート作品にも対応できる演技の幅を決定づけました。