ゆで卵の仕上がりを左右するもう一つの決定打が、鶏卵そのものの鮮度です。日本の卵加工やマヨネーズ製造のトップランナーであるキユーピー株式会社の研究によると、卵白のタンパク質は熱によって異なる温度帯(約60〜80℃)で凝固していく性質を持っています。
ここで知っておくべきは「新鮮すぎる卵はゆで卵に不向き」という事実です。日本養鶏協会などの発信でも触れられている通り、産みたてに近い新鮮な卵は内部に炭酸ガスが多く溶け込んでおり、pH(水素イオン濃度)が低いため加熱時に白身と薄皮が強固に張り付きやすくなります。
購入後、冷蔵庫で数日から1週間ほど寝かせた卵のほうがガスが抜け、殻が圧倒的に剥きやすくなります。食品産業の現場でも、用途に合わせて卵の鮮度をコントロールすることは常識となっており、自宅でも「ゆで卵用には少し日数が経った卵を選ぶ」という発想が失敗を防ぐ近道です。