伊藤が1988年に世界で初めてトリプルアクセルを成功させてから、およそ38年の年月が流れた。今や女子フィギュアスケート界では、4回転ジャンプや高難度のトリプルアクセルを組み込む構成が当たり前の時代となったが、その潮流の原点にいたのは間違いなく彼女だった。
当時の女子競技では「優雅さ」や「可憐さ」が最優先される傾向が強かったが、伊藤が持ち込んだ圧巻のアスレチシズムと爆発的な運動能力は、フィギュアスケートを本格的なアスリートの競技へと発展させた。現在、ミラノ・コルティナ五輪の舞台で高難度ジャンプに挑む若手選手たちも、「伊藤みどりさんの映像を見て育った」「あのジャンプの高さと幅は今見ても異次元」と尊敬の念を隠さない。