乱高下する血糖値をコントロールし、血管を守るための食後高血糖の改善方法最新まとめとして、臨床現場で最も確固たるエビデンスが示されているのは「食事の組み立て方」と「食直後の身体活動」の最適化である。
まず食事療法において、最も手軽かつ即効性を持つのが血糖値を下げる食事の順番(フードファースト)の徹底だ。食事の最初に食物繊維が豊富な野菜、海藻、きのこ類をよく噛んで摂取する。食物繊維が胃腸の粘膜に膜を張り、後から入ってくる糖の吸収速度を物理的に遅らせるためだ。続いて、肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質や脂質を口にする。タンパク質や脂質が小腸に到達すると「インクレチン(GLP-1など)」という消化管ホルモンが分泌され、胃の排泄運動を緩やかにし、すい臓からのインスリン分泌を適切なタイミングで促進する。主食であるご飯やパンなどの炭水化物は、必ず最後に回す。この「野菜→タンパク質・脂質→炭水化物」の順序を守るだけで、同じメニューであっても食後の血糖ピーク値を30〜40mg/dL抑えられることが実証されている。
次に決定的なのが、食後の過ごし方だ。従来の「食後は胃腸を休めるために安静にする」という常識は、血糖マネジメントの観点では完全に否定されている。食後15分から30分が経過すると血液中に糖が流れ込み始めるため、このタイミングに合わせて筋肉を動かすことが最も効果的だ。激しい運動は必要ない。食後に5〜10分程度の軽い散歩をする、あるいは椅子から立ち上がってスクワットを15回行うだけでも十分だ。筋肉を収縮させると、インスリンの助けを借りずに筋肉細胞の表面に「GLUT4(糖輸送体)」が移動し、血中のブドウ糖をダイレクトに取り込んでくれる。これにより、血管を痛めつける急激なスパイクを未然に押し潰すことが可能となる。