リアルタイムで90年代の狂騒を体験した50代前後のファンと、ストリーミングやSNS経由で「情熱の薔薇」に出会った10代〜20代の若年層の間では、楽曲に対する共感のベクトルに興味深いグラデーションが見られます。
90年代のリスナーは、「受験戦争や就職活動の息苦しさの中で、自分だけの価値観を肯定してくれた曲」として記憶しているケースが多く見られます。一方、SNSや動画投稿サイトに寄せられる現代の若い世代の声を取材・分析すると、「SNS疲れや人間関係の比較に苦しんでいる時、『なるべく小さな幸せでいい』という歌詞に救われた」という意見が圧倒的多数を占めます。
常に他者のタイムラインと自己を比較させられ、際限のない承認欲求に晒される現代社会において、「答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方」という内面への回帰を促すフレーズは、強力なメンタルケアの役割を果たしています。時代がデジタル化・高度情報化するほど、この曲が持つ根源的な人間賛歌の価値が高まっていると言えます。