小林千晴を語るうえで避けて通れないのが、父である昭和・平成の名優・小林稔侍と、兄である実力派俳優・小林健との関係性です。映画『鉄道員(ぽっぽや)』をはじめ数々の名作で唯一無二の哀愁を醸し出してきた稔侍氏は、家庭内や仕事場において徹底した「現場至上主義」を貫く人物として知られています。
若い頃の小林千晴が役者の世界へ足を踏み入れた際、周囲からは当然のように「大物俳優の愛娘」という色眼鏡で見られました。しかし、稔侍氏は現場において特別扱いを一切許さず、むしろ身内だからこそ最も厳しい視線を注いでいたと当時の現場スタッフは証言しています。TBS系の『税務調査官・窓際太郎の事件簿』シリーズで親子共演を果たした際も、画面上で親子であることを意識させず、あくまで「窓際太郎」と「査察部を支える純子ちゃん」というプロフェッショナルな共演者としての距離感を保ち続けました。
一方、兄の小林健もまた、テレビ東京の『警視庁強行犯係・樋口顕』シリーズなど数多くのサスペンス作品で活躍するバイプレイヤーです。兄妹で同じ作品にキャスティングされることも多く、時にコミカルに、時にシリアスに作品の屋台骨を支え合ってきました。互いをライバルとして意識しすぎるのではなく、職人気質の役者として認め合う健全な家族関係が、芸能一家特有のプレッシャーを跳ね返す最大の原動力となったのです。