時計の針を巻き戻すと、東京ヤクルトスワローズが成し遂げた劇的な快進撃が鮮明に蘇る。前年最下位に沈んでいたチームを引き継ぎ、就任初年度にしてセントラル・リーグ制覇を達成したあのシーズン。打線が爆発的な攻撃力を誇示し、山田哲人選手がトリプルスリーを達成するなど華やかな話題に彩られていたが、その屋台骨を支えていたのは真中監督による徹底した選手への信頼と、迷いのない選手起用だった。
パ・リーグの王者と激突した2015年の日本シリーズ。短期決戦特有の重圧がのしかかるなか、ベンチで見せた冷静沈着な立ち振る舞いは今も語り草だ。勝負どころで見せる直感的な采配と、緻密に積み上げられた状況判断。選手を委縮させず、本来の力を100パーセント引き出す空気作りこそが、あの熱狂を生み出した原動力にほかならない。