煙を肺に吸い込まなければ安全だという言説は、医学的には完全なまやかしに過ぎない。口腔粘膜は極めてデリケートで吸収性が高く、煙に含まれる無数の発がん性物質やタール、高濃度のニコチンをダイレクトに吸収してしまうからだ。
肺がんのリスクがわずかに低減したとしても、その代償として跳ね上がるのが口腔がん、舌がん、咽頭がん、そして重篤な歯周病のリスクである。煙が口腔内に滞留する時間は、深く吸い込む場合よりもむしろ長くなるケースすらある。歯肉の血流は阻害され、組織の壊死や歯槽骨の吸収が静かに進行する。鏡を覗いたときには気付かない微細な粘膜の変性が、取り返しのつかない病変へと発展する例は枚挙にいとまがない。