2017年、安井は大望を抱いてヴィッセル神戸のトップチームに昇格した。しかし、彼を待ち受けていたのはクラブの歴史的転換期だった。親会社である楽天グループの巨額投資に伴い、世界的なスタープレイヤーが続々と神戸に舞い降りたのだ。
アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキ、ダビド・ビジャ。バルセロナやワールドカップ制覇を経験した世界的名手たちが日常のトレーニング場に当たり前のように並んでいた。若手日本人選手にとっては定位置確保が極めて困難な試練の時代であったが、安井はこの環境を最高の「学びの場」へと昇華させた。
世界最高峰のパスワークを間近で体感した日々
特にイニエスタとの日々のプレーは、安井のサッカー観を根本から揺さぶった。パスの強弱、受け手の利き足に吸い付くような配球、そして相手の重心の逆を突く体の使い方。安井は練習後に何度もイニエスタの動画を見返し、自らの身体操作に取り入れようと試行錯誤を重ねた。
「ワールドクラスの選手たちは、力でサッカーをしていない。首の振り方ひとつ、ファーストタッチの位置ひとつで相手を無力化してしまう。その事実を間近で体感できたことは、自分のフットボール人生において代えがたい財産になった。」
ベンチを温める日が多くとも、腐ることはなかった。途中出場でピッチに送り出されれば、イニエスタが空けたスペースを補うカバーリングや、鋭いインターセプトでチームのバランスを保ち、玄人好みの好パフォーマンスを披露し続けた。