彼が生涯にわたってストールを愛用し続けた理由は、単なるセルフプロデュースにとどまらない。武蔵野美術大学で油絵を専攻した芸術的感性は、色彩や質感に対する並々ならぬこだわりを育てた。服飾やファッションデザインに対する造詣も深く、季節ごとに素材や色合いを厳密に使い分けていたという。
春や夏には風通しの良い麻や薄手のシルク、冬には上質なカシミヤ。膨大なコレクションの中から、その日の天候や共演者の衣装との色彩バランスを考慮して最適な一枚を選ぶ。その姿は、自らの身体をキャンバスに見立てて作品を完成させる画家そのものだったと言える。