朝もやが静かに立ち込める甲賀の山林。竹林を揺らす風の音に交じって、欧米からのファミリー客が上げる感嘆の声が響く。いま海外からの旅行客が求めているのは、作られたテーマパーク型のエンターテインメントではない。彼らが切望するのは、歴史の息吹をそのまま肌で感じる体験だ。
地元で長年続く研究家や保存会が主導するプログラムは、単なる観光の枠組みを遥かに超えている。かつてこの地を生きた忍びたちの薬草知識、厳しい山林での生存術、そして精神統一の技法。これらを「生きる知恵としての忍術」として多言語で体系的に紐解く試みが評判を呼び、主要な体験プログラムは半年先まで予約が埋まるほどの盛況ぶりを見せている。