『fish』がシングルとして世に放たれたのは2014年2月5日のことです。しかし、この楽曲の種が蒔かれたのはそれよりも遥か前、バンドが地元・群馬県で活動していたインディーズ黎明期(2007〜2008年頃)にまで遡ります。当時からライブハウスの現場では演奏されており、古参のファンの間では「いつ音源化されるのか」と熱望され続けていた伝説的なナンバーでした。
当時のインタビューにおいて清水依与吏は、「曲自体は初期から存在していたが、当時の自分たちの演奏力や表現力では、この曲が持つ感情の重みや繊細なニュアンスを完全に再現しきれなかった」と述懐しています。初期衝動の勢いだけで形にするのではなく、バンドとしての確固たる演奏技術とサウンドプロデュース力を手に入れたタイミングまで、大切に熟成されていたのです。
プロデューサーには、数々のヒット曲を手掛ける島田昌典氏を招聘。アコースティックギターの爪弾きからストリングスが重なる壮大なダイナミクスに至るまで、緻密に計算されたアレンジが施されました。カップリングには『イセザキカルテット』と『ネタンデルタール人』が収録され、後に大ヒットアルバム『ラヴストーリー』(2014年3月発売)やベストアルバム『アンコール』の中核を担う重要作へと結実しました。