木札へ魂を吹き込む筆記用具選びにおいて、絶対にしてはならない致命的な過誤が存在する。それは「消せるボールペン(フリクションペンなど)」の使用である。摩擦熱で文字が無色化する特殊インクは、護摩壇の熱風はおろか、夏場の本堂の熱気でも揮発・消失する危険性がある。本尊の御前で願意が白紙化してしまっては本末転倒である。
木肌はインクを吸収しやすいため、極細の水性ボールペンでは木の導管にペン先が引っかかり、文字がかすれて判読不能になりやすい。推奨される筆記具は、黒の筆ペン、もしくは中字以上の油性サインペン・油性マジックである。記帳台に備え付けのペンがある場合はそれを使用すれば問題ないが、マイ筆ペンを持参して丁寧に認める参拝者も多い。
また、寺院における金銭の呼称に関して、宗教文化上の混同が散見される。参拝者が検索時に「護摩木の初穂料」と入力するケースが多発しているが、本来「初穂料(はつほりょう)」や「玉串料(たまぐしりょう)」は神社(神道)の用語である。
寺院(仏教)において護摩木を納める際に納める金銭は、「志納料(しのうりょう)」「護摩木代」「祈祷料」あるいは「お布施」と呼ぶのが正しい。授与窓口で「初穂料はいくらですか」と尋ねても意図は通じるが、大人の教養として「志納料(または護摩木代)をお納めします」と伝えるのが洗練されたマナーである。