午前2時、静寂が支配する祇園の裏路地。冷気があたりを包み込む中、微かな照明が伝統的な木造建築の格子戸を照らし出していた。本作『翡翠 -KYOTO MIDNIGHT-』のロケーション撮影は、観光客の姿が消え去った深夜から明け方にかけて集中的に行われている。
張り詰めた緊張感の中で指揮を執るのは是枝裕和監督だ。モニターを見つめるその眼光は鋭く、息を潜めるスタッフ陣の動きには一切の無駄がない。画面越しに漂うのは、日常の裏側に潜む歪みと美しさ。カメラが捉える一コマ一コマが、まるで一幅の絵画のように重厚だ。