逃亡が長期化するにつれ、法曹界や世論の間では容疑の切り替えを求める声が一段と高まりを見せている。現在の手配容疑である救護義務違反(ひき逃げ)や過失運転致死傷罪ではなく、未必の故意を視野に入れた「殺人罪」での立件を求める署名活動には数万人を超える賛同が集まった。殺人罪が適用されれば公訴時効は完全に撤廃され、逃走者が一生罪から逃げ切ることは法的に不可能となる。
これほど監視社会化が進んだ日本国内で、なぜ一人の男が足取りを残さず逃げ続けられるのか。潜伏生活を維持するためには、身元確認が緩い宿泊施設や現金手渡しの非正規雇用、あるいは第三者による組織的な匿いが必要不可欠となる。専門家の間では、山中でのサバイバル生活説から、偽造パスポートを用いた密出国、さらにはすでに国内の別名義社会に完全に埋没している説まで様々な推測が飛び交う。刑事司法の威信をかけた捜査の壁を突き破るには、これまでの常識にとらわれない抜本的な追跡アプローチが求められている。