「手術によって歌声が劣化してしまったのではないか」という懸念に対し、事実は正反対の結果を示しています。花村想太の歌声は、手術を経てむしろ表現の幅を広げ、安定性を飛躍的に高めたというのが音楽関係者やボイストレーナーの一致した評価です。
術前、彼は持ち前の地声の強さと天性の高音域に頼る発声を行っていました。しかし声帯結節を経験したことで、喉の力みだけで高音を張り上げるリスクを痛感します。復帰にあたって彼はボイストレーニングを基礎から見直し、身体の共鳴腔を最大限に活かしたミックスボイスや、喉に過度な負担をかけずに力強い響きを生む発声メソッドへと舵を切りました。
その結果、高音域のクリアさが増しただけでなく、繊細なファルセットから骨太なチェストボイスまでをシームレスに繋ぐ技術を習得。レコード大賞を受賞した「CITRUS」やストリーミングヒットを記録した「スターマイン」「I wonder」における超絶技巧のボーカルラインは、この喉の危機を契機とした血のにじむような技術革新の賜物といえます。