『チェリーチェリー』の歌詞を一読すると、リズミカルなカタカナ英語や甘酸っぱいフレーズが散りばめられたガーリーなポップソングのように映ります。しかし、その奥底にはyasuが表現し続けてきた「人間の本能的な衝動」と「不器用な愛情表現」が緻密に織り込まれています。
当時の音楽雑誌のインタビューやオフィシャルライナーノーツにおいて、yasuは「アルバム全体のダークでヘヴィな世界観の中に、誰もが理屈抜きで楽しくなれる抜け道を作りたかった」と語っています。ヘヴィメタルの重厚感を押し出した『BLACK LIST』の中で、本作はあえて陽気なスウィング調のビートを採用。歌詞における「チェリー」というワード自体、若さや未熟さの象徴であると同時に、ABCの代名詞でもある官能的なダブルミーニング(隠喩)として機能しています。
恋に浮かれる主人公のテンションをカタカナ混じりの口語体でリズミカルに紡ぎつつ、サビではストレートに相手を求める情熱を爆発させる構成は、聴き手の照れや理性を鮮やかに吹き飛ばす計算されたギミックと言えます。