愛媛といえば柑橘だが、2026年の道後はその見せ方が極めてクレバーだ。「ただ甘いみかん」の時代はとうに過ぎ去った。いま店頭を飾るのは、品種ごとの酸度と糖度を精密に計算したペアリングスイーツである。
旬の「せとか」や「甘平」を惜しげもなく丸ごと閉じ込めた大福は、手にとるとずっしりと重い。薄皮の羽二重餅を噛み切った瞬間、果汁の洪水が口いっぱいに広がる。白餡の甘さは果実の輪郭を引き立てるためだけに存在し、後味はどこまでも清々しい。さらに隣のスタンドでは、果汁をマイナス温度で瞬時に凍らせたクラッシュジェラートに行列ができていた。温泉で火照った喉に、これ以上の解毒剤は見当たらない。