2026年の大阪・関西万博を経て、大阪の都市景観は急速にモダンへと舵を切った。超高層ビルや最新の複合施設が西成・天王寺周辺にも広がりを見せる。だが、その対極に位置するこの街の風景こそが、逆に強い引きつけを生んでいるのだ。
路地に一歩足を踏み入れれば、そこには大正から昭和初期にかけて建てられた重厚な木造の破風造り(はふづくり)や緻密な木彫がそのまま残る。看板の灯りに照らされた玄関口の光景は、映画のセットではない。生きた歴史そのものである。都市の均一化が進めば進むほど、こうした時代から置き去りにされたかのような空間が持つ生のリアリティが、訪問者の心を揺さぶる。