映画『カンゾー先生』で今村昌平監督に見出され、数々の映画賞を総なめにした柄本明。その異彩を放つ演技の裏には、常に妻の鋭い眼差しが存在していた。角替さんは柄本が出演する作品の台本を自ら読み込み、役作りの相談相手を務めたという。
後年、大ヒットを記録した映画『シン・ゴジラ』での重厚な閣僚役や、NHKの連続テレビ小説、さらに近年世界的な評価を得るNetflix作品に至るまで、柄本が魅せる変幻自在の演技哲学。その根底には「一番の観客であり、一番の理解者」であった角替さんからのアドバイスが息づいている。どれほど大作の現場から戻っても、家には常に演技について対等に語り合える角替さんがいた。