純和風の温泉旅館を想像して訪れると、良い意味で期待を裏切られる。設計を手がけたのは、建築家の塩田有二氏。コンクリートとガラス、そして木材が織りなすモダンなデザインは、まるで現代美術館のようだ。3階建ての建物は傾斜地を活かして建てられており、各フロアで異なる景色と光の表情を楽しむことができる。
特に印象的なのは、光の取り込み方だ。スリットから差し込む自然光が、コンクリートの壁面に美しい陰影を描き出す。日本の伝統的な「陰翳礼讃」の美意識と、現代建築のスノビズムが見事に融合した空間は、ただそこに身を置くだけで知的好奇心が刺激される。