ドラマの生命線を握るのは、やはり脚本の強度にほかならない。『アンナチュラル』で法医学と社会倫理を鮮やかに結びつけ、緻密な構成力で視聴者を唸らせた野木亜紀子は、最新作でも時代の痛点を容赦なく突く鋭利な筆致を見せている。虚構と現実の境界を揺さぶるプロットは、一度観始めたら途中で止めることを許さない。
一方、人間の脆さと不条理を詩的な台詞回しで紡ぎ出す坂元裕二の存在感も圧倒的だ。彼の手がけるヒューマンドラマは、単なる感動の押し売りを拒絶し、登場人物の吐息や生活の軋みまでを生々しく可視化する。両者が提示するのは、分かりやすい勧善懲悪ではなく、答えのない現実に立ち向かう人間のリアルな横顔だ。