本作の圧倒的な説得力を支えているのは、主演を務めたチョン・ヘインとク・ギョファンによる息の合った圧巻の演技だ。鋭い観察眼と静かな情熱を秘めた新兵アン・ジュノ役を演じたチョン・ヘインは、従来の爽やかなイメージを完全に覆し、社会の不条理に苦悩する一人の青年を見事な目線で表現した。撮影現場ではボクシングの特訓を重ね、徹底的な役作りでアクションと感情の双方を極限まで引き上げている。
一方、バディを組む先輩ハン・ホヨル役のク・ギョファンは、ユーモアと独特の間合いで作品に絶妙な緩急をもたらした。彼らのアドリブ混じりのリアルなやり取りは、重苦しいテーマの中に一筋の人間味を吹き込んでいる。密着取材で見えてきたキャストたちの舞台裏からは、過酷なテーマを扱うからこそ、一コマ一コマに魂を込めて臨んだ真摯な姿勢が伺える。