海外の合法化トレンドを都合よく解釈した言説が、インターネット空間には溢れている。Netflixで配信されたドキュメンタリー映画『草の根(Grass is Greener)』は、米国のジャズ文化やヒップホップ、人種差別と薬物戦争の複雑な歴史を鮮烈に描き出し、欧米における大麻合法化運動の根底にある社会構造を浮き彫りにした。こうしたドキュメンタリー作品が提示する海外の文脈は、一部の国内ユーザーによって「世界標準は合法化」「大麻は無害」という短絡的なスローガンへと矮小化されがちだ。
欧米諸国の政策転換は、何十年にも及ぶ薬物戦争の失敗、人種間格差の是正、司法コストの削減という固有の歴史的文脈から生じた苦渋の選択であり、無制限な礼賛ではない。海外のエンターテインメントやSNSカルチャーを鵜呑みにし、日本の法秩序のなかで安易に手を伸ばす行為は、自らの人生を法的な断崖絶壁に追い込む危険な錯覚に他ならない。