燻り続けていた大森南朋の運命を一変させたのが、2001年に公開された三池崇史監督のバイオレンス映画『殺し屋1』でした。山本英夫の伝説的コミックを実写化したこの作品で、彼は主人公の殺し屋・イチ役に大抜擢されます。金髪の坊主頭にオドオドとした気弱な佇まいを見せながら、極限状態に追い込まれると驚異的な体術と残虐性で敵を解体していく――。この極端な二面性を持つ狂気のキャラクターを怪演し、国内外の映画関係者に強烈なインパクトを与えました。
『殺し屋1』でカルト的な人気を獲得した彼は、2003年の映画『ヴァイブレータ』で心に傷を抱えたトラック運転手を演じ、キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞やヨコハマ映画祭主演男優賞など数々の映画賞を総なめにします。アンダーグラウンドの怪優から、日本映画界になくてはならない本格派アクターへと評価を塗り替えた瞬間でした。
そして2007年、彼のキャリアにおける最大の転換点であり代表作ドラマとなったNHK土曜ドラマ『ハゲタカ』が放送されます。大森が演じたのは、外資系投資ファンドを率いて日本企業を冷徹に買収していく伝説のファンドマネージャー・鷲津政彦。「買い叩く」「腐った日本を買い叩く」という冷徹な台詞の裏に、国家への愛憎と深い孤独を滲ませた佇まいは社会現象となり、第44回ギャラクシー賞優秀賞などを受賞。30代半ばにして、名実ともに日本のトップ俳優としての地位を不動のものとしました。