2000年代後半から2010年代にかけて、秋葉原はアニメやゲームの物語そのものの舞台として神格化された。中でもゲームおよびアニメ『STEINS;GATE』は、ラジオ会館や路地裏の雑居ビル、怪しげなパーツショップが混在する「リアルな秋葉原」を作品の世界観に深く組み込み、全世界のファンを魅了した。
しかし、現在のサブカルチャー産業の構造は当時とは大きく異なる。IP(知的財産)の消費スピードは加速し、作品の聖地としての物理的空間の価値は、ソーシャルゲームやSNS上の仮想空間へと分散された。秋葉原の街頭で展開されるカルチャーも、かつての深いマニアックな専門性から、マス向けの流行商品やトレーディングカード取引といった転売・投機的側面が強いコンテンツへと移り変わっている。聖地としての情緒は薄れ、より流動的で商業的な消費空間への深化が進んでいる。