大葉健二の闘病の軌跡は、単なる一俳優の病気克服記にとどまらず、超高齢社会を迎えた現代日本において深い教訓を示しています。
昭和から平成にかけて、ヒーローは「傷つかない無敵の存在」として描かれてきました。スタントマンとして骨折や打撲を日常茶飯事としながらカメラの前で笑ってみせた大葉健二もまた、超人としての仮面を背負い続けてきた一人です。しかし、脳梗塞という残酷な現実を前にした時、彼は自らの脆弱性(弱さ)を隠すことなく受け入れ、車椅子に乗りながらも生きる意志を社会に提示しました。
家族社会学の観点からも、大葉健二夫妻が見せる「過度な依存に陥らない、自立を促すリハビリ支援のあり方」は在宅介護・療養の理想モデルの一つといえます。 hero(英雄)とは、一度も倒れない者のことではなく、倒れてもなお立ち上がろうと腕を伸ばし続ける者のことである――大葉健二の現在の背中は、かつてテレビの前で勇気をもらった無数のファンに対し、人生の後半戦における「本当の勇気」を教えてくれています。