山口の演技を語る上で欠かせないのが、指の先まで神経が行き届いた立ち回りの美しさだ。現代の映像作品ではCGやカット割りによるテンポ重視の殺陣が増える中、彼の殺陣は愚直なまでに「間」と「重心」を重視する。
『剣客商売』をはじめ、数々の名作時代劇で鍛え上げられた所作は、太秦のベテラン裏方スタッフからも一目置かれてきた。刀を抜く瞬間の緊迫感、刃が風をきる音、そして相手を斬った後に訪れる静寂。デジタル処理では絶対に再現できない「本物の匂い」が、彼の身体表現には凝縮されている。世界中のアクション映画ファンが今、彼の殺陣に熱狂している理由はそこにある。