隆起サンゴ礁がもたらしたアルカリ性のミネラル豊富な土壌は、特異な農産物を育む母体となった。その筆頭が、国内流通量のわずか0.1%にも満たない国産白ごまのなかで、約7割のシェアを占める喜界島の在来種白ごまだ。
小粒でありながら、焙煎した瞬間に解き放たれる芳醇なナッツのような香りと凝縮された旨味は、国内外のトップシェフたちを唸らせてやまない。夏の終わりに島を訪れると、収穫された白ごまの束を天日干しにする「セサミロード」と呼ばれる独特の風景が広がる。島風にさらされながら手作業で選別される一粒一粒に、機械化に頼らない島の誠実な手仕事が宿っている。