1990年代半ば、デザイナーのセルジオ・ロザーノが手掛けた一足は、当時のスニーカー界の常識を根底から覆した。彼がインスピレーションを得たのは、人間の身体構造そのものだった。
アッパーの重ね合わせは皮膚や筋肉の組織、ミッドソールは背骨、そして独特のシューレースループはあばら骨をモチーフに設計されている。人体解剖学に着想を得たナイキのデザイン思考が見事に結実したこの構造は、シューレースを締めあげることで足全体を包み込むフィット感を生み出す。穴ではなくリボン状のループに紐を通すアプローチこそが、他モデルにはない独特の陰影と立体感を醸し出すのだ。