現代の日本料理界を牽引する恵比寿「賛否両論」の笠原将弘シェフや、調理師教育の最高峰である辻調理師専門学校の教理において、プロの工程には確かな調理科学的根拠が存在する。ほうれん草に含まれるシュウ酸を適切に抜きつつ、クロロフィル(葉緑素)を鮮やかに保つには、たっぷりの沸騰したお湯に塩を加えて一気に茹で上げることが不可欠だ。
日本料理の伝統においては、単に混ぜ合わせるだけでなく「素材と調味料の親和性」が重視される。調理科学の観点からも、油分を豊富に含む胡麻が野菜の表面をコーティングすることで、時間の経過による品質低下を防ぐ効果が裏付けられている。プロのレシピが美味しいのは感性だけでなく、理にかなっているからに他ならない。