エコー画面で男の子の特徴とされる突起物が確認されたにもかかわらず、後の健診で判定が女の子へと覆る最大の要因は、エコー性別見間違いの理由が物理的な陰茎の存在以外にも複数存在する点にあります。診察室で妊婦が見つめる白黒の超音波画像は、あくまで組織の密度差を音波の反射で可視化した断層写真に過ぎません。
最も頻度の高い誤認要因が、へその緒見間違い男の子のパターンです。胎児の太ももの間にちょうど臍帯(へその緒)がループ状に挟まり込むと、断層面では外性器と極めて酷似した突出物として描写されます。カラードプラ(血流エコー)を用いれば血管走行により臍帯と判別可能ですが、通常の白黒エコーかつ胎児が活発に動く条件下では、熟練した産婦人科医でも突起状の陰影をペニスと誤読してしまうリスクを排除できません。
次に挙げられるのが、女児の外性器の一時的な腫大です。妊娠中期、胎盤から分泌される母体由来のエストロゲンやプロゲステロンの影響を受け、女児胎児の大陰唇や陰核が強く浮腫を起こす時期があります。この腫れ上がった陰核が超音波ビームの角度によって前方に突き出して描出されると、まるで小さな陰茎のように映し出されます。週数が進み、ホルモンバランスの推移とともに浮腫が引いてくると、以前見えていたはずの突起が忽然と姿を消し、いわゆるエコー写真シンボル消失と呼ばれる現象に直面することになります。
さらに、胎児の手指や足の親指が偶然股間に触れていたケースや、膀胱や大腿骨の骨輪郭が特定の角度でアーチファクト(虚像)を形成していたケースなど、超音波特有の物理的限界が「男の子確定」という思い込みを生み出しているのです。