香港の暗黒街を語る上で避けて通れないのが、新義安と14Kという二大勢力の存在だ。両者は組織の成り立ちも統制システムも対極に位置している。
新義安は強固な中央集権体制と血縁主義を誇る。企業のようなピラミッド型組織を構築し、各地区の「総管」が上層部の厳格な指揮下で動く。資金力と組織規律の高さから「企業型マフィア」とも称され、合法ビジネスへの浸透速度は群を抜いていた。
対する14Kは、国民党軍将校によって結成された軍事色の強いルーツを持つ。中央の統制が緩やかな分、各派閥(字頭)が独自の判断で暴走する凶暴性を特徴とし、ストリートでの流血沙汰を恐れない武闘派として恐れられてきた。現在もこの二大勢力は表向きの衝突を避けつつ、水面下で歓楽街の利権や違法ギャンブル、最新のサイバー詐欺のテリトリーを巡って冷戦状態を継続している。