同一年でのジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの連覇——「ジロ・ツール・ダブル」。過酷を極める現代グランツールにおいて、それはもはや不可能な伝説とさえ言われていた。1998年にマルコ・パンターニが達成して以来、四半世紀にわたり誰も到達できなかった高みへ、タデイ・ポガチャルはやすやすと手を伸ばしてみせた。
ポガチャルが見せたレース運びは、まさに無慈悲なまでの圧倒感だった。山岳ステージでの容赦ないアタック、タイムトライアルでの精巧な走り。チームUAEエミレーツの強力なアシスト陣に支えられ、彼は計6つのステージ優勝を重ねて総合成績を圧倒した。ファンが目撃したのは、単なる勝利の記録ではない。ロードレースというスポーツの限界値が更新された瞬間だったのだ。