この稀有な成長物語を語る上で欠かせないのが、創業者アンドリュー・ローゼンとファーストリテイリング会長兼社長の柳井正による伝説的な対話だ。まさに極上の「企業買収・経営ドキュメンタリー」を鑑賞するかのような劇的なドラマがそこには存在した。ニューヨークの感性と日本の経営合理性が激しくぶつかり合い、やがて強固な信頼へと変わっていった過程である。
柳井正は単なる資金提供者にとどまらず、ブランドの本質的な価値を尊重する姿勢を崩さなかった。一方のアンドリュー・ローゼンもまた、グローバルグループとしてのスピード感と構造改革の重要性を深く理解していた。トップ同士の波長が共鳴したことで、買収劇にありがちなアイデンティティの喪失を回避し、むしろブランドの研ぎ澄まされた魅力を倍増させることに成功したのだ。