カウンター越し、わずか数十センチの距離で繰り広げられるクロースアップ・マジックの破壊力は凄まじい。カメラの編集も隠し仕掛けの余地もない至近距離で起こる現実は、人間の認知の隙間を軽やかに突いていく。かつて日本中に「超魔術」ブームを巻き起こしたMr.マリックや、指先の芸術と称される洗練された演技でクロースアップの世界を茶の間に浸透させた前田知洋といった先駆者たちの系譜が、現在の新宿には脈々と受け継がれている。
さらに近年注目を集めるのが、人間の心理や行動パターンを読み解き操るメンタリズムのパフォーマンスだ。読心術や予言が目の前で現実となるとき、ゲストは困惑と歓喜が混ざり合った独特の全能感に包まれる。これらの技術を支えるのは、長年の鍛錬と人間の認知科学への深い洞察だ。公益社団法人日本奇術協会に所属する実力派マジシャンや、海外のコンベンションで賞を総なめにした若き鬼才たちが夜な夜なカウンターに立ち、テレビ画面越しでは絶対に味わえない鳥肌モノの奇跡を届けている。