破竹の勢いは神話の世界にとどまらなかった。中国の長大な歴史ロマンに挑んだスーパー歌舞伎 新・三国志シリーズでは、本物の水が舞台上に滝のように降り注ぐ本水演出や、劇場の空間を極限まで使い切るフライングが話題をさらった。澤瀉屋という一門の結束力と、舞台に命を賭ける役者陣の凄まじい熱量が、そこには凝縮されていた。
過酷を極めた稽古場では、妥協なき演技指導が連日繰り広げられたという。立ち回り一つ、視線の配り方一つにまで神経を行き届かせる。すべては客席の集中を一瞬たりとも途切れさせないためだ。エンターテインメントの本質とは何か。その答えを、彼は自らの肉体と言葉で一座の全員に叩き込み続けた。