岩盤規制に穴をあける試みとして進められた国家戦略特区事業もまた、彼の主導した重要施策の一つである。地方自治体や民間企業と連携し、特定地域での規制緩和を推進するこの試みは、従来の省庁権限に真っ向から挑むものだった。
当然ながら、既得権益を守ろうとする既存勢力や各省庁との激しい軋轢が生じた。こうした攻防のプロセスは、政経・官僚ジャーナリズムにとっても格好の取材対象となった。権力の中枢でどのような駆け引きが行われ、誰がイニシアチブを握っていたのか。国家戦略特区事業をめぐる一連の展開は、官邸政治の凄みと限界を双方顕在化させる出来事となった。