原作である『国宝』は、朝日新聞出版から刊行された吉本隆明賞受賞作であり、現代日本文学における最高峰の芸道小説と称される。吉田修一が数年間にわたる歌舞伎取材を経て書き上げたこの物語には、芸に身を捧げた者だけが見ることを許される凄絶な景色の数々が刻まれている。
小説が突きつけるのは、「美とは何か」「表現者として生きるとは何か」という問いだ。血縁のない主人公が、血筋という巨大な壁に挑みながら血吐く思いで立ち向かう姿は、あらゆる表現者の胸を打つ。吉田修一が作品に込めた「血を超える芸の狂気」という魂のメッセージが、映画版でも色濃く継承されている。