ひらがなの書き方に迷ったとき、最も確実な道標となるのが「文字のルーツ(字母)」です。ひらがな「れ」は、漢字の「礼(禮)」の草書体を極限まで簡略化して生まれました。
漢字の「礼」を分解すると、左側の「示(しめすへん)」と右側の「乚(つくり)」から成り立っています。「れ」の筆順が全2画である理由も、この構造をそのまま引き継いでいるからです。
筆順の正確なプロセスは以下の通りです。
- 1画目:中心線よりもやや左側からスタートし、下へ向かって真っ直ぐに縦画を引きます。この1画目は「礼」のしめすへんの縦軸に相当します。最後は強く止めるのではなく、紙からスッと力を抜きながら下へ抜くように運筆します。
- 2画目:1画目のやや左上、または中央付近から入り、右上がりへと進んだ後、山を描くように鋭角に折り返して左下へ斜めに下ります。そこから再び右下へ向かって大きく湾曲し、最後は右斜め上へ伸びやかに払います。この一連の曲線は「礼」のつくりの流れるような筆の動きを表現しています。
フォントの種類によって「くるっと回すような形状」に見えるケースがありますが、これは草書を速書きした際の筆の返しがインクだまりやデザインとして固定化された名残です。文字の骨格として円を描いて回す筆順は存在せず、あくまで「右上がり→左下への折り返し→右下への深いうねり→右上への払い」という一筆の連動した筆脈で書くのが本来の正しい書法です。